Tuesday, 29 September 2015

[映画] Dheepan ディーパン―パルムドール受賞 [感想]

映画「Dheepan」を見てきました。

仏人監督 Jacques Audiard の作品で2015年カンヌ映画祭のパルムドール(一番偉いやつ)を受賞した作品です。

スリランカに内戦があったことをご存じですか?
ところで、スリランカってセイロンティーのセイロンのことなんですね。

スリランカの内戦とは、多数派シンハラ人(75%)(仏教)vs少数派タミール人(15%)(ヒンドゥー教)の戦いをさします。少数派タミール人で、シンハラ人の政権から独立したい人たちは武力組織LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)を結成して、戦闘します。実は、イギリスの植民地時代にイギリス人たちは少数派タミール人を優遇する政策を取っていて、その反動でスリランカが独立したあとは政権を握ったシンハラ人が自身の民族を優遇するようになったのです。1983年から2009年まで続いたこの戦闘はなんとか収まったものの、多くのタミール人が難民となったそう。

「Dheepan」はこの内戦を背景に、身寄りのないタミール人3人が家族と偽ってパスポートを取得し、フランスへ逃げる話。ところが、難民申請先のフランスでも、銃声が鳴り響く平和とは程遠い生活を強いられるわけです。というのも、彼らが生活できるようなところはシテと呼ばれる郊外の治安が悪い地域。不良同士の戦争があるわけです。そこでどうやって生きていくか…。

この映画のテーマは二つ、内戦シテ(住居があつまる区画のこと。特に危ない区画に対して使うことが多い気がします)に対する非難ではないかと思います。あとは逆境に対して人間がどうやって対応するか。
ただ、シテの治安の悪さはちょっと極端に描かれすぎな気もします。私自身パリ郊外の移民街、わりとガラが悪くて有名なところに2か月ちょい住んでいましたが、危ないと感じたことは特にありませんでした。珍しいことなのでしょうかね。
フランスのことをよく知らない人がこの映画を観たら、フランスってやばい国なんじゃないかと勘違いしそうです。

最初から最後まで、難民3人のことが心配すぎてはらはらしっぱなしの、見ごたえのあるえいがでした。戦争や暴力を引き起こす人間って馬鹿ですね。

映画は、最後がまた極端にイデアリストな終わり方でしたが、まあハッピーエンドで良かったです!単純
これでハッピーエンドでなかったら、次の一週間くらいは鬱々と過ごすことになっていたかも。

この映画がパルムドールをとったことにみんなが驚き(゚д゚)!だったようですが、恐らく移民問題を扱ったテーマが評価されたのだろう、と言われているようです。

確かに欧州では、大問題。この話題をニュースやラジオで聞かない日はありません。
嫌でも移民問題を身近に感じずにはいられない。

ただ、現時点でニュースになっているのは中東からの移民です。
なのでこの映画の「スリランカからの移民」という設定に、どきっとさせられました。ニュースで報道されなくとも、注目されている場所以外からも逃れてくる人は存在するのです。

メディアで取り上げられることのみに目を奪われることのないように、と心を改めた次第です。

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